12月になってアドヴェントを迎えると、街中が急に華やかになる。
大通りにはイルミネーションが灯り、方々にクリスマス市が立つ。
我が家でも、例年の如く手作りのアドヴェントカレンダーを出し、アドヴェントクランツを作り、そして私がシュトーレンを焼く。
ここ十年以上にわたって、判で押したように変わらない。
しかしこれは喜ぶべきことだ。
毎年、家族の三人が一人も欠けることなく(犬が一匹増えた)元気に年の瀬を迎える事が出来たのだから。
それに、判で押したようだからと言っても、全く変化がない訳でもない。
かって妖精やサンタさんを堅く信じていた私達の娘も、今年はギムナジウムの3年生だ。
当然のことながらアドヴェントカレンダーに小さなお菓子や玩具を入れてくれる妖精もサンタさんも信じなくなったが、それでもアドヴェントカレンダーもサンタさんのプレゼントもなくてはならない物のようだ。
手作りのアドヴェントクランツ。
十年以上使っている手作りのアドヴェントカレンダー。
長いこと使えるようにと、わざと虫の喰わないアクリルの糸で妻が編んだのだが、12月1日に間に合わなそうだったので途中から私も手伝い、数字はほとんど私が刺繍した。
今年は
シュトーレンの作り方を少し変えてみた。
シュトーレンの種に混ぜ込むドライフルーツなどを、干しぶどうと共にラム酒に二週間ほどつけ込んで熟成させる事にしたのだ。
しかし、これを使ってシュトーレンを焼いてみたけれど、それほど味は変わらなかった。
さらにこの後二度目に焼いたときから、棒状にしたマジパンを中に入れて焼いてみたのだが、これは正解だった。
ネットで検索したシュトーレンのレシピの中の、有力ないくつかのレシピにあったのを真似してみたのだが、お陰で私のシュトーレンは一段と美味しくなったように思う。
それはさておき、娘が幼稚園や小学校低学年の頃には、クリスマス市へも4~5回は行っていたように記憶している。
お気に入りのお菓子、風船、ポニーに乗る、回転木馬などなど、毎回一つだけに決めて、12月24日までの間に何回か通ったものだ。
そういう訳で、娘を連れて行くのは必ず市庁舎前の昔からあるクリスマス市であった。
ウィーン市内ではいたる所にクリスマス市が立ち、それぞれに少しずつ特色があって面白い。
我が家の近辺だけで申し訳ないが、そのいくつかをご紹介しようと思う。
うちから一番近いのが、7区のシュピッテルベルグ通りのクリスマス市だ。
この辺りは、比較的古い(17世紀頃)の建物が並び、小洒落たバー、レストラン、ギャラリーなどが軒を連ねている場所だ。
クリスマス市も子供向けというより大人向けの店が多いように見受けられる。
どのクリスマス市の入り口も、大抵グリューワインという温かいワインを飲ませる店があり、いつも人が沢山たむろしていて、にぎやかさを演出している。
何となくエキゾチックな店が多い。
こういう店はクリスマスともキリストとも関係ないだろ?と思う。
しかしこういう店もちゃんとあるのであった。
すごく綺麗で面白いのがこれ。
是非動画で見ていただきたい。
この日は、次ぎに美術史美術館と自然史博物館にはさまれたマリア・テレジア広場に行ってみた。
いかにも見事なロケーションで、昔からあるような顔をしているが、昨年から始まったばかりの新顔のクリスマス市だ。
これはクリスマスツリーの飾り物。
アフリカのお姉さんが売り子をしていた、アフリカの民芸品のお店。
こちらでは今こういう物がけっこう流行っているようだ。
可愛い動物の人形だが、木の皮や堅い枝のようなもので作られていて、何だかエコロジーな雰囲気がする。
マリアテレジア広場を通り抜け、リング大通りに出てしばらく歩くと、一番有名な市庁舎前のクリスマス市だ。
色んな店があるが、クリスマスツリー用品の店が一番多いようだ。
とても素朴な感じのするお菓子。
まるで季節外れの風鈴のようだが、実は蝋燭。
色の付いたガラスの器に無色透明な蝋と、装飾と香り付けのために色んな物(シナモンやバラの花びらなど)が入っている。
写真がぶれてしまったが、風船売り。
よく見るとキティちゃんなんかもある。(去年まではなかった。)
うちが贔屓にしている、素朴な味だけどとても美味しい菓子パンのお店。
いつも人だかりがしている。
娘は来ると必ず、エクレアを団子のように五つほど串刺しにした物をここで買って食べる。
この時はもう九時頃だったろうか。
最後にカールス広場の市に行こうと思い、一区の中を横断する事にした。
コールマルクトのイルミネーション。
グラーベンのイルミネーション。
ウィーンのクリスマス電飾は大抵白一色で、上品なものがほとんどだ。
と思いきや、シュテファン広場に出て、大聖堂の向こう側を見てぎょっとした。
ローテントゥルム通りの電飾の派手なこと・・・
何となくユーゲントシュティールっぽい。
この後、大急ぎでカールス広場に向かったが、時間はもう遅過ぎたようで、着いてみるとグリューワインの店しか開いていなかった。
その翌々日、今度は夕方(と言ってももう真っ暗なのだが)の6時にカールス広場に行ってみた。
この写真もぶれていて申し訳ないのだが、一番この場所の雰囲気が出ているのでこの写真にした。
カールス広場のクリスマス市は、ウィーンやその近郊に住む工芸作家が多く店を出している。
したがって、何となく芸術的と言うか胡散臭いと言うか・・・ここもまた面白い雰囲気のクリスマス市だ。
何となく薄暗いお店が多くて、ぶれた写真ばかり撮ってしまう。
ご覧の通り木工芸のお店。
手前にあるのはまな板。
食卓の上に置き、この上でめいめいパンを切ったりサラミやハムを切ったりする。
フェルト製のかわいい室内履き。
ご覧の通り、ガラス工芸。
カールス教会の前にある浅い池は、水がすっかり抜いてあり、替わりに麦わらを敷き詰めて子供達が大はしゃぎで遊んでいる。
山羊やポニーも居るようだ。
おや?何だあれは・・・
マントをすっぽりとかぶった不気味なお兄さんが松明を二本ぐるぐると振り回しながら歩いている。
すると放送で「7時からウィーン市博物館の前で、『グランド・ファイヤーショウ』が始まります。」との事。
こりゃ見ないわけにはいかないな!
ワクワクしながらお兄さんの後をついていった。
同じような坊主頭のお兄さんが二人、マントを脱ぐと皮のズボンに上着。
その上にラメの飾りを付けている。
ロックミュージックが大音量でかかり、松明を振り回しながら踊り始めた。
これはとてもじゃないが写真では追っ付かない。
どうぞ動画でご覧下さい。
注)動画が作動しない場合は、画面の中央を何度かクリックして下さい。