F6号 レモンティー
「レモンティー」、こういう上からの視点の構図はKenwanには珍しい。アウガルテンの白とテーブルクロスの白、模様のバラの白、お砂糖の白、色々な白。
右上のお菓子は、クリスマスのお菓子でバニラキプフェルというクッキーだが、今回上からの視点で描く為、モティーフを低い位置に設定した。
普段エニーは、生後10週目でうちへ来て以来、絵に粗相をした事は一度も無いし、引っ掻いたり、齧ったり、そういうオイタは一切無いので、アトリエに自由に出入りしている。それどころか、絵を描いている最中のKenwanの膝の上には、いつもエニーがお昼寝中である。
ところが、この絵を制作中のある日、Kenwanがトイレに立って戻ってみると、エニーが、このモティーフ台の直ぐ横で口をモゴモゴさせながら、こちらを「あっ!」という感じで振り返った。モティーフ台のお皿に目を移すと、あろう事かバニラキプフェルは半分くらいなくなっている。
Kenwanの「あああ〜〜〜〜」という悲鳴のような叫び声が聞こえると、エニーは、「あれ、何か悪かったかしら?」とばかりその場をスタスタと去って行った。
日頃エニーに大甘のKenwanが、この時ばかりは怒る事、怒る事!
そんなこと言ったって、口の届く所に置く方が悪いのだから、仕様がない。
それにしても、エニーが、こんな物を食べたのは、生まれて初めてだったが、幸いお腹も壊さずに済んだ。
上手い具合に端の方から食べたので、描いてある部分には、あまり影響がなく、少し足せば事足りたのでホっとした。
マダムKenwan